ポカラ市の課題の一つである高い妊産婦および乳幼児死亡率を改善するための活動。
2015年からJICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)=JPP で母子保健改善を取り組み、2017年から活動エリアを拡大して第2フェーズの同事業を展開してきました。
2022年4月に第3フェーズの同事業が採択され、2023年1月に業務委託契約を締結。2年半にわたり行う第3フェーズでは、「妊娠期から産後まで母児を地域で支える切れ目のない継続ケア」を目標に事業を進めていきます。
JICAネパール事務所にアレンジいただき、Nepal最大手のKantipur TVが、当会が行う継続ケア研修および母子友好病院を取材いただきテレビ放映されました。現在、You tubeでも視聴可能ですので、ぜひご覧ください。
2023年3月~4月にネパールへ渡航いただいた3名による研修・視察報告会を開催しました。
川手 幸子 助産師(幸助産院院長・駒ヶ根市)
赤羽 洋子 助産師(菜の花マタニティクリニック師長・伊那市)
竹原 泰世 母子保健専門家(ネパール交流市民の会・USA)
報告会には、プロジェクト協働推進グループ(長野県看護大学、菜の花マタニティクリニック、おひさま助産院、幸助産院)を中心に参加いただき、赤羽さんからは、日頃の臨床現場の視点からの現地の医療、ケアの様子を、赤羽さんと竹原さんからは、乳房ケア指導者育成の様子を報告いただきました。
また、赤ちゃんへの手作り祝い品や乳房ケア指導者育成で使用するおっぱいモデルに対して、現地の方が喜んでいる様子の報告もありました。
日本側の支援・協力が、ネパールでの母子保健改善のために、現状やニーズに沿ったものとなるよう、今後も横のつながりを強め、情報共有をしながら進めてまいります。
日本側での開始式(2023.2.6開催)に続き、ネパール側でも実施団体であるポカラ駒ヶ根友好協会(PKCAF)の皆様のおかげで、開始式が盛大に開催されました。
開始式には、ネパール国ガンダキ州チーフ大臣、ガンダキ州保健人口省事務次官、母子友好病院運営委員長はじめ大勢の病院スタッフ、また、地域の保健ボランティアや女性クラブなどからも大勢ご出席いただきました。
また、JICAネパール事務所からは、大久保所長はじめ4名もの方がお越しくださり、心強いメッセージをいただき、改めて事業が実施できることへの感謝の気持ちがあふれてきました。
さらに、駒ヶ根からも市民の方が当会役員とともにかけつけ、また、ガンダルバ音楽の生演奏もあり、大変賑やかな式となりました。
開始式に先立ち、ポカラ市長をお迎えして当会幹部らと母子友好病院での懇談もあり、両市の友好の絆を感じる機会にもなりました。
Phase3のキーワードは「切れ目ない継続ケア」です。妊産婦、新生児が継続的にケアを受けられるようにするためには、本日集まってくださったような方々のつながりをさらに強化できるよう取り組んでいきたいと思います。
共に歩んでくださるみなさん JICAネパール事務所長とガンダキ州チーフ大臣
駒ヶ根からネパール渡航してくださった皆さん
駒ヶ根市が提案団体、ネパール交流市民の会が実施団体となり、2015年から2期にわたりJICA草の根技術協力事業に取り組んできました。事業の成果をさらに発展・定着させるため、再度事業提案し、JICAより採択事業として認められ、2023年1月13日付けでJICAと契約締結しました。新規事業(第3フェーズ)の開始にあたりポカラ側にはオンラインで参加いただきながら関係団体が一堂に会し、事業への抱負や期待を語りました。関係団体の協力をいただきながら、これから2年半にわたる活動に進めてまいります。
JICA草の根技術協力事業(第3フェーズ)
事業名:ポカラ市における妊娠期から乳児期までの切れ目のないケア推進事業(地域活性型)
実施期間:2023年1月~2025年6月
事業詳細は、JICA草の根技術協力事業 業務委託契約締結記事をご覧ください。
2023年1月13日付けでJICA草の根技術協力事業 業務委託契約を締結しました。
本事業は、2015年から取り組んできており、今回が第3フェーズとなります。第1フェーズ・第2フェーズでは「性教育から産前」、コロナ禍にはCLAIR(自治体国際化協会)のスキームで「分娩第1期」と母子保健医療の改善に取り組んできました。今回の第3フェーズでは「産後、新生児」に焦点を当て、「妊娠期から産後まで母児を地域で支える切れ目のない継続ケア」を目標に下記の取り組みを進めていきます。
JICA草の根技術協力事業(第3フェーズ)
事業名:ポカラ市における妊娠期から乳児期までの切れ目のないケア推進事業(地域活性型)
実施期間:2023年1月~2025年6月
①対象医療施設(ヘルスポスト)の医療従事者及び女性地域保健ボランティアの連携強化
②医療従事者が研修を通じて産前・産後/新生児・乳児期ケアの能力強化
③女性地域保健ボランティアの地域における産前産後ケアの能力強化
④医療施設へのアクセスが困難な妊産婦が安心して周産期を過ごせる体制の強化
⑤両国の地域において市民の協力が促進され、民際活動への参加度が高まる
12月26日、菜の花マタニティクリニック(長野県伊那市)から当会に対し、ネパール国ポカラ市の病院で医療従事者が研修に使う医療モデル(成人女性骨盤モデル、産褥子宮触診シミュレータ及びバイタルサインベビー)3種類 計5台(約90万円相当)を寄贈いただきました。
当会は、同国ポカラ市で妊産婦や乳幼児死亡率の減少を目的とした母子保健プロジェクトに長年取り組んできております。2023年1月から実施予定の「草の根技術協力事業」第3フェーズで、ネパールと日本をつないでのオンライン研修を実施予定ですが、今回、医療モデルを寄贈いただいたことで、ネパールと日本で同じ医療モデルを用いながら効果的な研修を行うことができます。今回の寄贈は、菜の花マタニティクリニックの鈴木院長が、急激な円安によるプロジェクト事業費の大幅な目減りを知り、各種研修機材を購入、寄贈いただきました。
菜の花マタニティクリニックには、2017年からクリニック助産師のネパール国への派遣、同国の医療従事者の研修の受け入れ、オンライン研修の講義等に、鈴木院長をはじめ、多くの医療従事者に母子保健プロジェクトに協力をいただいております。毎回、ネパール現地に役立つ、根づくにはどのように伝えたらよいかという視点に立った研修の構成による同国の医療従事者の能力向上に尽力いただいていることに心から感謝申し上げます。
菜の花マタニティクリニックの鈴木院長 ネパール国ポカラ市の病院へ送付される
(右から2人目) から目録を受け取る会長 医療モデルと菜の花マタニティクリニックの皆様
「第37回 日本国際保健医療学会学術大会」(2022年11月19日、20日)
11月20日に行われたシンポジウムの1つ「オンライン・リモート時代の国際協働:限りある資源の中で、「誰も取り残さない思いを実現するtips5」の登壇者であるJICA 渡部晃三氏より「草の根技術協力等でのオンライン活用の好事例」として当事業の乳房ケアトレーニングを取り上げてくださいました。
コロナ禍における事業の実施は、常に変更の繰り返しであり、渡航ができない中で始まったオンライン研修でしたが、予想外にも多くの利点をもたらしてくれました。母子友好病院スタッフのケア技術・知識向上は、乳房ケアにとどまらず、フットケア、マタニティアセスメント等も実施し、長野県看護大学、菜の花マタニティクリニック、おひさま助産院等の地域の母子保健関連機関にご協力をいただき実施してまいりました。2年以上にわたり渡航をせずに数多くの研修を積み重ねてこられたのは、両市の間に確固たる信頼が築かれていたこと、各人の誠実な思いがあったことによるものと改めて感じています。
「デジタル」という大変便利だけれど無機質なツールに対して、今後も信頼や誠実さを込めながらできる限り活用し取り組んでまいりたいと思います。
今回のシンポジウムでは、そのためのITツールや、具体的な方法等の事例紹介も数多くあり、とても大きな学びがありました。
シンポジストの方々
・「便利なITツールを用いたフィールド調査」
松井 三明 氏(神戸大学大学院保健学研究科)
・「草の根技術協力等でのオンライン活用の好事例」
渡部 晃三 氏(国際協力機構)
・「AHIのオンラインによる参加型研修 オンラインだからこその「壁」を生かして」
清水 香子 氏((公財)アジア保健研修所(AHI))
・「オンラインを通じた民際協力の模索」
伊藤 淳子 氏(NPO法人パルシック)
ネパールには医師のいる産院はまだ少なく、村から何時間も歩いて通わなければならないところもたくさんある。
そのため病院に行く途中で出産してしまったり、中には一度も検診せず自宅分娩というケースも・・
色々な理由から生まれてくる赤ちゃん1000人のうち21人が1歳までに命を失ってしまう。
妊産婦死亡率は日本の50倍以上にもなる。
そこで、ネパール交流市民の会は友好都市ポカラで母子保健プロジェクトを始めた。2008年まず救急車や医療器材を送り、2013年には「母子友好病院」が開院。
母子友好病院は、ポカラ市北部の第16地区に位置あります。市の中心部からは、バスを乗り継いで約1時間の場所にあります。
病院の建設費用は、日本国大使館の草の根無償資金協力(草の根・人間の安全保障無償資金協力)のほか、ポカラ市とポカラ市民が負担し、医療機器をネパール交流市民の会が寄贈しました。
常勤の婦人科医と小児科医のほか、助産師や看護師など29名のスタッフが働いています。(平成27年3月現在)
◆町内会で行う母子保健健康教育
・町内会や婦人会と連携し、妊婦だけでなくサポートする家族向けに開催
・劇やロールプレイにより、妊娠経過や家族・地域のサポートの必要性を伝える
・クイズ番組やインタビューによる参加型のワークショップ
◆病院と医療従事者のスキルアップ
・日本人専門家・病院内外の医師・看護師らが講師になり、妊産婦ケアに関する様々なトレーニングを実施
・日本で駒ヶ根を中心とした医療機関や市役所などで研修
◆スタッフの接遇力向上と環境改善
スタッフのマナー向上ワークショップ
◆ネパールのポカラ市で「より多くのお母さんたちが安心して安全に元気な赤ちゃんを産む」
ということを目指したJICA草の根技術協力事業の2年間の様子です。
英語「Together for Safer and Happier Child Birth – Pokhara and Komagane」(Digest version)
英語「Together for Safer and Happier Child Birth – Pokhara and Komagane」(Full Version)
◆JICAホームページで紹介していただきました!
https://www.jica.go.jp/
◆JICA ネパールNGOハンドブック(2018年度版)にて当会が紹介されています。【詳細はP30】
https://www.jica.go.jp/nepal/office/about/ngodesk/ku57pq00000qghlp-att/ngo_handbook_2018.pdf
年 | 月 | 内容 |
高い妊産婦・乳幼児死亡率はポカラ市の課題 | ||
2001年 | 4月 | ポカラ市はこの課題に対して母子保健病院の建設支援を駒ヶ根市に要請 |
2007年 | 7月 | ポカラ市は「母子保健病院地元建設委員会(委員長:市長代行)」を包括する地域の政治的代表者で構成される「ポカラ・駒ヶ根友好都市関係調整委員会」を結成し、駒ヶ根市からの支援の受け入れ態勢を築く |
10月 | 駒ヶ根市が、今後の交流(協力)は市民中心で行う方向性を示したことを受け、ネパール交流市民の会はポカラ市と共同で「母子保健プロジェクト」の実施、この第一弾として救急車と医療機器を寄贈することを決定 | |
2008年 | 6月 | ネパール交流市民の会は、この寄贈の原資となる寄付金の募集を開始 |
ポカラ市は、「市民中心」という駒ヶ根市の要望に基づき、友好関係強化のための市民組織「ポカラ・駒ヶ根協力委員会(設立者:市長代行)」を設置 | ||
11月 | ネパール交流市民の会がポカラ市に救急車と医療機器を寄贈(「母子保健プロジェクト」第一弾) | |
2010年 | 11月 | 寄贈した救急車及び医療機器の活用状況調査及び今後のプロジェクトについての協議 |
2011年 | 6月 | ネパール交流市民の会第13回総会で、ポカラ市が進める「母子友好病院」建設に対して、この病院で必要な医療機器及び備品の一部を寄贈することを決定(「母子保健プロジェクト」第二弾) |
11月 | 日本国政府が、ポカラ市の「母子友好病院」建設に対し、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」支援を決定 | |
2012年 | 5月 | ネパール交流市民の会がこの病院に対して医療機器を寄贈(「母子保健プロジェクト」第二弾) |
2013年 | 2月 | 「母子友好病院」竣工 |
2015年 | 3月 | JICA草の根技術協力事業「安心・安全な出産のための母子保健改善事業」開始(2017年3月まで) |
4月 | ネパール大地震発生、トカルパ村への復興支援活動 | |
2017年 | 6月 | JICA草の根技術協力事業「ポカラ市北部における住民参加型地域保健活動を軸とした持続可能な母子保健プロジェクト」開始(2021年5月まで) |
2020年 | 4月 | 自治体国際化協会(CLAIR)自治体国際協力促進事業(モデル事業)「母子保健研修センターにおける指導者養成事業」開始(2022年3月まで) |
2023年 | 1月 | JICA草の根技術協力事業「ポカラ市における妊娠期から乳児期までの切れ目のないケア推進事業」開始(2025年6月まで) |